記憶って本当に厄介なものですよね…。
思い出したくない出来事はずっと重く残り、ふとした時に湧き上がって苦い思いを蘇らせます。「受け止めなきゃ」と言われても、逆に「受け止めるってどういうことなんだろう…」とはっきりわからなかったりします。そして、人生経験の記憶もあれば、仕事や勉強などの記憶、小さい頃の記憶、1時間前の記憶など、記憶にも色々あります。生活をしっかりとしてゆく上では、記憶はとても大切なものです。でも…一体、記憶ってなんなのでしょう。
困った時には、聖典に教えてもらうのが一番!そこで、聖典「ヨーガ スートラ」を開いてみると、記憶(スムルティ)とは、思考(チッタヴルッティ)の一つと説かれています。それは、心に起きている波立ちの一つだと言っているのですね。記憶という波立ちですが、この波立ちの幅が激しかったり、波立ち方のスピードが大きいほど、パワーが強いとされています。
そして、心の中でこの波立ちを見ている人がいます。それが、”心の私(アハンカーラ、あるいはブッディ)”とされます。つまり、”記憶という波立ち”と”心の私”は、距離を置くことができるのですね。
もし、うまく距離を置くことができれば、その記憶の波立ちは、好きなように動きまわり、やがて何事もなかったように消え去ってゆきます。それは、どこへ消えていったのかはわかりません。きっと種のようになってどこかに潜んでいるでしょう。そしてまた後で、波立ってくるかも知れません。でも、また好きに波立たせて、距離を置ければ、またどこかへ行ってしまいます。
肝心なことは、記憶の波立ちに寄っていかないことです。感情、分析、評価などは、波立ちが大きな時には正しく働かないものですから。
ヨーガでは、認識できる記憶よりも、その記憶に強い印象をもってしまうことの方が厄介であると考えています。それは、サンスカーラと言われる認識できない記憶の倉庫にしまわれてしまうからです。もちろん、これは記憶だけではなく、私達が実生活の中で、”苦手だなー”か、”やだなー”とか、”もっと欲しいなあー”という強い思いを持ってしまうと、サンスカーラへしっかり入ってしまい、記憶の波立ちとして、またよみがえってしまうと考えているからなのです。
19世紀、社会心理学者のエビンスハウスは、脳は生存にかかわる情報を記憶するために本来は、ほとんどを忘却する働きがあることを見つけました。健全な脳は、忘れる力をしっかり使っているのです。忘れる力は、心身がフレッシュで快適な状態であるほど、うまく働きます。
そして、私達がうらやましいなあーと思うほど記憶力がいい人は、適切な時に適切なことを思い出せる人ですが、そのような人には、混乱や焦りなどは少ないように思えます。気持ちの切り替えがうまい人は、きっと思い出す力に長けているに違いありません!
先ほど距離を置くことにふれましたが、これはマインドフルネスの基本だとも感じます。ヨーガでは、さらにアーサナ、呼吸法、マントラを唱え続ける瞑想など、その力を育むテクニックに満ちています。そして、あらためて禁戒(ヤマ)、勧戒(ニヤマ)も、自分を苦しめ、束縛に追い込むような強い印象を”種のように”残さないようにしていることにも気づきます。
私も皆さんと一緒にヨーガを楽しんで、もやもやした記憶の世界を忘れ、晴れ晴れとした気持ちをしっかり感じてゆこうと思います。
~神戸元町三宮ヨガスタジオ ヨーガスクエア・ディーバ~
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