昨年の6月に明治大学アカデミーホールで講演会を行ったトラウマ研究の第一人者である
米ボストン大学医学部精神科教授である ベッセル・A・ヴァン・デア・コーク先生の
トラウマセンターのプログラムについての本が紀伊国屋書店より出版されました。
本書「はじめに」に寄稿されているコーク博士の文章に、どうしてヨーガがトラウマの
克服に役立てられるのかが書かれています。
「ヨーガは、総合的なヒーリング・プロセスの要である。
人は、何が起こったのかが分かる言葉を見つけることができ、その記憶を時間と空間の中に
位置づけることができたとき、「現在もなお、繰り返しトラウマを生きなければならない」
という暴虐から自由になる。
だが、その人が真に回復を悟ることができるのは、体が過去に起こったことの再体験を強い
られることなく、過去を思い出すことができるときでしかない。」
トラウマは、過去のものであるのに、体があたかも切迫した危険の中にいるかのように反応
し続ける。 筋肉が硬くなり、リラックスしたり、自然な流れに乗ったりすることができなく
なる。
慢性的なトラウマ患者の女性達は、シャヴァ・アーサナ(仰向けのリラックスのポーズ)の
間にも、彼女達の筋肉がまるで見えない敵と今も戦い続けているかのように引きつり続けて
いるのを認めるという。
黙って許すことを学び、恐れていた身体感覚について好奇心を持てるようになると、人は
統御感を得るという。
この著書の帯に書かれてある「身体を敵ではなく、友とすることからはじめよう」という
言葉のように、身体からの疎外と断絶から、少しずつ自分の身体に興味を向けいくこと。
著者たちは、一人ひとりの必要性に合わせて、ゆっくりと一歩ずつ進むマインドフルな
今の瞬間に気づきを向けるヨーガを提唱しています。
○昨年の明治大学でのコーク博士の講演会の様子は、2011年6月21日のブログに掲載しています。
なお、コーク博士は、2013年の(社)日本ヨーガ療法学会宮崎研究総会に、海外招待講演者として
来日予定です。
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