月別アーカイブ: 2010年7月

この世は 我心の合わせ鏡 汝 この世に何を見るか

美しい雲海
今月の聖句瞑想の言葉は、「 この世は、我心の合わせ鏡 汝 この世に何を見るか 」です。
私達は、自分の中に見えたものを外の世界にも見るという智慧の言葉です。
この聖句を分かり易く表現したお話があります。

「一つの木の切り株がありました。 闇の中に、泥棒がやって来て、それを見て「警官だー。」と
 言いました。 又、恋人を待つ若者が、それを見て、「彼女だ!」と思いました。
 おばけの話を聞かされていた子供は、それを見ると・・・「幽霊だ~」と思い叫び始めました。」

しかし、始めから終わりまで、それは一つの切り株だったのです。

このお話からも伝わるように、私達は、自分の中に持っているものを外の世界に見るのです。 
外の世界は、自分自身の心が造り出したものであるとも言えますよね。
心が、不安定な状態であると、不安定なものしか見えないので、私達は苦しみ悩み続けます。
その反対に、心が安定していると、安定した美しい世界が見えるということになります。

私達は、常に自分自身の中にある不満や不幸の種を、よく調べていかなければならないのですね。
誰もが・・・出来れば、安定した美しい世界を見ていきたいですよね。
聖師 スワミ・シヴァナンダ大師様も“内省の必要性”について、以下のように語っています。
「一人座り、あなた方の心を内に向けなさい。そして、自分自身を調べなさい。あなたの内にある
 ものを見つけ出すように努めなさい。そして、それらの中身を分析しなさい。」

熱意を持って自分自身を内省し、内心の事物を見つけ出す努力をすることで、自分自身の心の内側
から湧き出てくるものによって、驚かされたり、呆れさせられたりすることも少なくなってくること
でしょう。
あなたは、ここ最近、内心で何を見て、何に心を動かされましたか?

第8回日本ヨーガ療法学会研究総会 in 金沢

日本ヨーガ療法学会のパネル発表
今回の、日本ヨーガ療法学会研究総会は、北陸の地、石川県金沢市で開催されました。
大会長は、上馬場和夫・富山大学和漢医薬学総合研究所未病研究部門客員教授です。

今回のテーマは、「統合医療の中のヨーガ療法 ~体と心と意識のテクノロジー~」です。
招待講演では、ヨーガ療法発祥の地、インドから Dr.S.C.マンチャンダ先生をお迎えしました。
マンチャンダ先生は、全インド医科学研究所心臓学名誉教授・医学博士・心臓学博士です。
研究所に在学中に実施された心臓疾患の患者さんへのヨーガ実習(ヨーガライフスタイル)の
研究発表でした。
特に、ヨーガの呼吸に意識を集中させる瞑想は、心を安定させ心臓疾患の患者に有効であった。
ヨーガライフスタイルを実施した方々は、症状の進行を遅らせ、冠動脈アテローム性動脈硬化症の
退行を促し、症状、心機能分類、危険因子のプロフィールを改善するという報告でした。

そして、一般研究発表として、「ヨーガ療法士養成講座(YTIC)」卒業生を中心に約300題の
症例発表がありました。 ヨーガ実習者の許可をいただき発表させていただきます。
ヨーガ実習者とヨーガ療法士の努力の成果であり、今後のヨーガ療法の発展の為の大切な資料と
なります。  
今回も、現代病である「パニック障害」「うつ病」「強迫性障害」「過敏性大腸炎」の方々への
ヨーガ実習報告が多かったですね。

そして、ガン治療中、ガン再発の恐怖に対するヨーガ実習報告もありました。
その実習者の本人の語りを一部紹介いたします。

「以前は、不安や恐怖から心身が緊張し始めると、その状態から元に戻ることが出来なかったが、
 ヨーガ療法を始めてからは、自分の体や心を客観的に見つめることができるようになり、心が
 落ち着き、自律神経の働きが整うのが良くわかるようになった。」
「今では、ガンになってよかったとさえ思える。自分の病気で子供がしっかりしてくれたのが
 嬉しい。私の体験を話すことで誰かの役に立てることが嬉しい。」

人生を生きていく上で様々な困難、災難、様々な問題が起きてきます。
特に、現代人は、スピード化した社会の中で、苦悩と混乱の中へ巻き込まれてしまいがちです。
社会生活では仕方のないことですが、私達は、外界の事柄に影響され、動かされ、内なる感情や
思いに何らかの緊張感を生じさせます。
しかし、私達が望みさえすれば・・・そうした外界からの影響に左右されない自分自身を造り
上げることが可能であることが、今回のヨーガ実習症例報告からも強く感じました。

ヨーガ実習者の多くは、自分の体や心に、どれだけ自分が無関心であったかに気づかされます。
内なる心の動きを観ることにより、自己への気づきが促され、自分が病気(心身症)になった
原因は、もしかしたら自分の内側にあったのではと気づかされます。
内省することで自己を知り、認知の変容が起こり始め・・・内側から健やかさが戻ってきます。
ヨーガ療法を続けることで、次第に自己コントロールが可能となります。
物事の見方、感じ方、反応の仕方に変化が現れることでしょう。

自らの内側からの変容によって、心身共に健やかに成長していける伝統的ヨーガの応用である
ヨーガ療法の素晴らしさを、今回の学会を通して更に感じることができる機会となりました。