月別アーカイブ: 2010年5月

心の湖を見つめてみませんか?

美しい湖
風もなく、湖面が静かだと、湖はものを映し出す鏡のようですね。
しかし、湖に石を投げ入れれば、さざ波が起こり、映っていた映像は歪められてしまいます。
湖は、心を表し、石は、外側からの刺激であり、さざ波は心の働き、揺れ動く心の波を表わして
います。
この心のさざ波は、心の奥深くにある真我(本当の自分)を意識する妨げとなります。

ラージャ・ヨーガの原典である パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」第1章2節目には、
「ヨーガとは、心素(チッタ)の働きを止滅することである」と定義されています。
心の波を制御することができたら、真我を意識することができたならば・・・
この定義は、ヨーガの目標であり、ヨーガ・スートラの主題ともなっています。

心とは、心素(チッタ)に蓄積された過去の記憶や、自分の作り出した想念(思い込み)に
引きずられ、その為に、心の湖を濁らせたり、波立たせたりしてしまうのです。
しかし、心の奥深くにある真我は、常に変わらずにそこに在ります。
映し出す鏡(心)の問題であり、これを本当の自分と同一視してはいけないのです。
その厄介な心を浄化し、心の湖を濁らせたり、波立たせたりしない為にもヨーガの瞑想を
日々の生活に取り入れることをお勧めします。
まずは、今の心の湖の様子をありのままに観察するところから始めてみましょう。
どんな外からの刺激に過剰に反応してしまうのか? 心を波立たせているのか?
好き嫌いの感情が湧いてくるのか? 心の湖を濁らせているのか?
一度、呼吸と共に・・・ありのままの心の湖を観察してみます。
長きに渡り、抱え込んでいた過去の記憶を少しづつ整理し、そして、クリーニング(浄化)して
いこうという心の意識を高めていきます。

心を波立たせる原因となる過去の記憶や想念(思い込み)を少しづつ取り除き、外側からの
刺激に過剰に反応しない不動の状態へと心を導いていく努力(勤修)をしていきましょう。
  ~ 皆様の心が、美しい湖のように静まり清らかであり、
               真我と繋がっていけますようにお祈りいたします ~

今日は、どんなお天気でしょうか?

羊
幸、不幸とは、私達が自分の心を通して、生じた出来事をどう見るかにかかっています。
ヴェーダ聖典では、「この世界は、汝の心によって造りだされている」と、哲学的に説かれています。
今日は、インドの聖典の中に出てくるあるお話をご紹介いたします。

ある旅人が、人里離れたある避地に行って、一人の羊飼いに尋ねました。
「今日は、これからどんなお天気になるでしょうか?」
尋ねられた羊飼いは・・・
「もちろん、自分にとってすばらしいお天気になると思います」 と答えました。
旅人は質問します・・・
「どうやったら、あなたにとって、すばらしい天気になると分かるのですか?そうなると言えるのですか?」
羊飼いは、次のように答えたそうです・・・
「それは、次のような理由があるからです。天気のように自分がコントロールできぬこと、自分が
 変えることができぬことに対して、自分は昔から、どんな天気になろうともそれを好きになろうと
 してきました。ですから、自分は心安らかなのです。
 一年、三六五日、自分は大好きな天気に恵まれることが常に分かるのです。自分はお天気を変える
 ことはできませんので、どんな天気に巡り合っても、それを好きになろうとしてきたからです。
 ですから、自分が好む事だけを、常に手に入れようとしているかわりに、自分がたとえどんな事を
 手に入れても、それを好きになるようにすることの方が、賢いと心に決めたのです。
 
 そんなわけで、自分はどんな天気に恵まれても、いつもその天気は自分にとって素晴らしいのです。」

自分では、コントロールできないこと、たとえば・・・お天気、試験の結果、他人の評価、人の心など
にエネルギーを使ってコントロールしようとする事は無駄なことのようですね。
自分のコントロール出来ないことを、コントロールしようとすることにより、苦しみの原因が生まれるのです。
そのことに気づきを得て、そして、自分の心の持ち方(認知)を変えることで、苦しみの原因を取り除く
ことも可能なのです。
自分に今日、与えられた課題(問題)の受け取り方、そしてその行為の仕方が大切なのですね。

さて、あなたにとって今日はどんなお天気(どんな一日)でしょうか?